プラットフォームのROASが利益を過大に見せる理由
プラットフォームのROASは、広告プラットフォームが自らの貢献とみなした売上を媒体費で割ったものです。売上原価、配送料、決済手数料、返金は含まれず、プラットフォーム独自のアトリビューション期間内の売上を数え、広告がなくても売れたかどうかは示しません。以下の試算モデルでは、ROAS 4.0と報告されるアカウントは、アトリビューションされた売上がすべて新規であれば利益が出ますが、新規が60%にとどまれば損失になります。予算の判断は、ホールドアウトと比較して測定した、媒体費控除後の貢献利益に基づくべきです。
エグゼクティブ向けの調査結果
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Googleの目標ROAS戦略は、Google Adsに報告したコンバージョン値を目指して入札します。送信する値が利益ベースの場合に限り、利益率が入札に反映されます。
文書化済み:公式の情報源. 対象範囲: Google Adsの検索・ショッピング入札に関するドキュメント, 時点 . [1]
- 2
Google Adsでは現在、廃止されたルールベースのモデルを使っていたコンバージョンアクションにデータドリブンアトリビューションが適用されています。ラストクリックは引き続き利用できます。各広告にどれだけの貢献を割り当てるかはアトリビューションモデルが決めるため、同じ売上でも設定によってROASが変わります。
文書化済み:公式の情報源. 対象範囲: Google Adsのアトリビューションに関するドキュメント, 時点 . [2]
- 3
Metaの標準アトリビューションでは、クリック後1日または7日以内、インプレッション後1日以内のウェブサイトコンバージョンを計上します。Metaは増分アトリビューションモデルも提供しています。Metaが計上したビュースルー購入は、Googleでも計上されている場合があります。
文書化済み:公式の情報源. 対象範囲: Meta広告マネージャのアトリビューション設定, 時点 . [3]
- 4
当社の例示モデルでは、プラットフォームROASが4.0のアカウントで媒体費控除後の貢献利益がプラスになるのは、アトリビューション売上の約68%超が増分である場合に限られます。
例示のモデルであり、ベンチマークではありません. 対象範囲: 前提を明示したFOCUSADSの試算モデルであり、ベンチマークではありません, 時点
方法と限界
- 問い
- プラットフォームが報告するROASを使って、有料メディアが利益を生んでいるか、さらにいくら投じるべきかを判断できるか。
- 対象読者
- 月次の媒体予算を承認または説明するCFO、Eコマース責任者、パフォーマンス責任者。
- 問われる意思決定
- 媒体費を増やすか、維持するか、削るか。また、どの商品グループの広告を止めるか。
- 情報源
- 入札、アトリビューション、リフト測定に関するGoogle AdsとMetaの公式ヘルプセンターのページ、およびコマースメディアの増分測定に関するIABのガイダンス。いずれも記載のアクセス日に確認しています。
- 期間
- 2026年10月17日時点で公開されているドキュメント。プラットフォームの設定は変わるため、適用前に再確認してください。
- 市場
- Google AdsとMeta広告が販売されているすべての地域に当てはまります。このモデルは通貨に依存しません。
- 定義
- プラットフォームROAS:広告プラットフォームがアトリビューションしたコンバージョン値 ÷ そのプラットフォームでの媒体費。
- 貢献利益:返品後に残る売上から、売上原価、配送料、決済手数料、返品処理費用を差し引いたもの。
- 増分の割合:アトリビューション売上のうち、広告がなければ発生しなかった部分。ホールドアウトまたはリフトテストで測定します。
- 制約
- 試算モデルでは、例示のための切りのよい数値を使っています。仕組みを示すものであり、どのカテゴリーの一般的なリターンや利益率についても何も示していません。
- 本記事のために非公開のアカウントデータは利用しておらず、クライアントの実績も引用していません。
- リフトテストで差を読み取るには十分なコンバージョン数が必要です。小規模なアカウントでは、テスト期間を延ばすか、地域単位のホールドアウトが必要になる場合があります。
プラットフォームの数値に含まれない4つの要素
文書化済み:公式の情報源
1つ目は費用です。プラットフォームが把握するのは、送信された注文金額だけです。商品、配送業者、決済事業者、3週間後に返送される荷物の費用を計上する項目はありません。
2つ目はアトリビューション期間です。Metaは標準の初期設定で、クリック後7日以内またはインプレッション後1日以内の購入を計上します。Googleは、ラストクリックを選ばない限りデータドリブンアトリビューションで貢献を割り当てます。各プラットフォームは自らの視点で報告するため、1件の注文が両方のレポートに現れることがあります。
3つ目は事後の返金です。コンバージョン値を調整または取り消さない限り、返金された注文はプラットフォームの売上に残ります。
4つ目は増分効果です。アトリビューションが記録するのは、販売の前に広告が存在したという事実です。GoogleのConversion LiftやMetaの増分アトリビューションがあるのは、存在と原因が別の問いだからです。
試算モデル:ROAS 4.0で損失が出るとき
例示のモデルであり、ベンチマークではありません
この表は、あるEコマースアカウントの1か月を追ったものです。入力値はすべて、計算を確かめやすくするために選んだ前提です。
アトリビューション上の数値では、このアカウントは損益分岐点の2.74を余裕で上回ります。しかし、新規売上とみなせるのが60%だけだとすると、損益分岐点は約4.57に上がり、同じ月が損失になります。
| 項目 | 金額 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 媒体費 | 20,000 | 前提 |
| プラットフォームがアトリビューションした売上 | 80,000 | プラットフォームROAS 4.0 × 媒体費 |
| 返品された注文の返金 | -12,000 | アトリビューション売上の15% |
| 返品されなかった注文の売上原価 | -27,200 | 返品されなかった売上68,000の40% |
| 配送料と決済手数料 | -9,600 | アトリビューション売上の12%(返品された注文分も支払い) |
| 返品処理 | -2,000 | 前提 |
| 媒体費控除前の貢献利益 | 29,200 | アトリビューション売上の36.5% |
| 媒体費控除後の貢献利益(全売上が増分の場合) | 9,200 | 29,200 - 20,000 |
| 媒体費控除後の貢献利益(60%が増分の場合) | -2,480 | 0.6 × 29,200 - 20,000 |
| アトリビューション売上に対する損益分岐ROAS | 2.74 | 1 ÷ 0.365 |
| 増分60%の場合の損益分岐ROAS | 4.57 | 2.74 ÷ 0.6 |
前提
- 返品率はアトリビューション売上の15%、売上原価は返品されなかった売上の40%、配送料と手数料はアトリビューション売上の12%。
- 増分の割合60%は、実測したホールドアウトの結果に置き換えるための仮の数値であり、どのカテゴリーの推定値でもありません。
- 固定費(人件費、ソフトウェア、倉庫)は含めていません。貢献利益でこれらも賄う必要があります。
商品グループ別の損益分岐点
例示のモデルであり、ベンチマークではありません
アカウント全体で1つの目標を置くと、損失を出している商品が見えなくなります。貢献利益率55%のホーム用品グループの損益分岐点は約1.8です。返品後の利益率が30%のアパレルグループでは、増分効果を考慮する前の段階で約3.3が必要です。
商品フィードに利益率の区分と返品リスクのラベルを入れ、キャンペーンやPerformance Maxのアセットグループを分けて、低利益率の商品ラインが高利益率の商品ラインの目標で入札されないようにします。注文金額ではなく利益ベースのコンバージョン値を送れば、目標ROASは貢献利益に向けて直接最適化を始めます。
| 項目 | ホーム用品 | アパレル |
|---|---|---|
| 注文金額 | 100 | 100 |
| 売上原価 | -30 | -40 |
| 配送料と決済手数料 | -10 | -12 |
| 想定返品コスト | -5 | -18 |
| 媒体費控除前の貢献利益 | 55 | 30 |
| 損益分岐ROAS | 1.82 | 3.33 |
前提
- 利益率を直接比較できるよう、両グループとも注文金額を100としています。
- 費用、手数料、返品の数値は差を示すために選んだ例であり、カテゴリーの平均値ではありません。
- ここでの損益分岐点は、アトリビューションされた売上がすべて増分であると仮定しています。上の表と同様に、実測した増分の割合で割ってください。
FOCUSADSの線引き
FOCUSADSの見解
プラットフォームには、自ら把握できる値で入札させます。それがプラットフォームのシステムの設計に沿った使い方だからです。予算は、ショップやERPのデータに基づく媒体費控除後の貢献利益で決め、大幅な増額の前にはホールドアウトを推奨します。オーナーが利益率データを共有できない場合は、メディアプランにその旨を明記し、入手できる最も近い数値として返品後の売上を報告します。
テストする内容(実施順)
| ステップ | 測定方法 | 成功とみなす条件 |
|---|---|---|
| 30日分のプラットフォームがアトリビューションした注文を、注文IDでショップまたはERPの注文と照合します。 | アトリビューション売上のうち、返金されていない実在の注文と一致した割合。 | 説明のつかない差異が、テスト開始前に財務部門と合意した許容範囲内に収まること。 |
| 1つの商品グループについて、利益ベースのコンバージョン値を送信します。 | そのグループの媒体費控除後の貢献利益を、前期間および比較可能なグループと比べたもの。 | 新規顧客の注文を減らさずに貢献利益が増えること。 |
| 購入サイクル1回分の期間、地域またはオーディエンス単位のホールドアウトを実施します。 | 接触グループとホールドアウトグループの注文数と貢献利益の差。 | 実測した増分の割合を使い、次の予算判断に向けて損益分岐ROASを再計算すること。 |
どの数値がどの問いに答えるか
判断に合った数値を使います。数値を混同すると、黒字のレポートと赤字の月が同時に存在することになります。
| 判断 | 使う数値 | 正とするデータ |
|---|---|---|
| プラットフォーム内の日々の入札 | プラットフォームのコンバージョン値またはROAS | プラットフォーム(可能な限り利益ベースの値を使用) |
| 月次の予算水準 | 増分の割合で調整した、媒体費控除後の貢献利益 | ショップまたはERPの注文・返品データとホールドアウトの結果 |
| 広告を出す商品 | 商品グループ別の損益分岐ROAS | 原価と返品データから作成したフィードラベル |
| 取締役会やCFOへの報告 | 媒体費控除後の貢献利益と新規顧客数 | 財務部門が照合した注文データ |
| 2つのプラットフォームの比較 | 広告費1単位あたりの追加貢献利益 | 各プラットフォーム自身のROASではなく、各プラットフォームでのリフトテスト |
私たちの方法とのつながり: 媒体費を投じる前に経済的な実態を定義する
参考文献
- About Target ROAS bidding, Google Ads Help, 閲覧日
- About attribution models, Google Ads Help, 閲覧日
- About attribution models and attribution settings, Meta Business Help Center, 閲覧日
- About Conversion Lift, Google Ads Help, 閲覧日
- Guidelines for Incremental Measurement in Commerce Media, IAB, 閲覧日
- About the search terms report in Performance Max, Google Ads Help, 閲覧日

